R6/10/4 災害ボランティアセンター実地訓練の開催

社協本部

秋田県社会福祉協議会と共催で「災害ボランティアセンター実地訓練」を行いました。今回のテーマは災害発生時に支援活動の中核を担う“災害ボランティアセンター”です。村役場職員、民生委員や各種関連団体の皆さまをはじめ、多くの方々にご参加いただきました。

講師としてお招きしたのは、特定非営利活動法人 にいがた災害ボランティアネットワークの理事長 李 仁鉄先生です。全国各地の災害発生地において、ボランティアセンターの運営支援活動等を行っておられます。

午前中はスクール形式の講義からです。災害ボランティアセンターの運営に関することの前に、自然災害についてのお話も。「津波や土石流は自動車並みのスピードと言われており、目視してから逃げ始めても遅いため早めの行動を意識する」や「広いところ、高いところ、遠いところなど、命が助かる場所へ逃げることが重要」などのお話がありました。

新潟中越地震や九州北部豪雨災害、能登半島地震等での写真や経験談を交えながら、講義は進みます。すし詰め状態の避難所の様子や、住家と道路の境目が分からないくらい土砂が押し寄せている写真など身につまされる思いがしました。

「避難所の段ボールベッドで長期間寝るのは心身ともに辛い」、「避難所へ弁当を届けても冷蔵庫が完備されていない所も多く、食中毒が懸念される。特に夏場は葉物野菜などの傷みやすい食材は衛生上避けるため、使える食材が限られる。さらに地元の仕出し屋も被災している場合が多く、その地区全体がギリギリの状態になりやすい」など、リアルなお話に参加者は耳を傾けていました。

自然災害のことや被災地の状況などを学び、いよいよ今回のテーマである災害ボランティアセンターについてです。運営スタッフに求められるものは「プロデュース力」と李先生は仰います。
例えばボランティアセンターの運営スタッフを募集する時、闇雲にお願いするのではなく、「来れる日の朝8時から9時まで受付で名簿のチェックをお願いします」や「お昼12時頃に作業から戻ってきたボランティアさんに冷タオルを渡すお手伝いをしてくれませんか」など、その人に合うような具体的な提案をするのが良いと教わりました。適材適所を見極め、円滑な運営ができるようにするためのプロデュース力です。

その他にも、作業を終えたボランティアさんの活動報告は聞き取りで行うと細やかな情報収集ができる等、運営のポイントをお話してくださいました。

講義を踏まえて、続いて実践です。センター長、総務班、ニーズ班、受付班、マッチング班、送り出し班、資機材班に分かれて実際の役割を確認します。マニュアルの読み合わせをし、李先生の助言を参考に具体的な仕事内容を明確にして午前の部は終了です。

午後の部は、災害ボランティアセンターの設置から。梅雨時期の7月に線状降水帯発生による大雨の影響で小阿仁川が氾濫し、住宅家屋に被害が出た想定で行います。会場を災害ボランティアセンターに見立て、参加者は相談しながら受付やボランティアの送り出しブース等を作りました。

 

途中、李先生からのアドバイスを踏まえ、より分かりやすく、よりスムーズな動線を確保できるよう試行錯誤を重ねます。椅子に番号札を貼って視認性を高くしたり、ホワイトボードを活用して情報を分かりやすくまとめたりするなど、アイディアを形にしていきました。

設営を終えたら、いよいよロールプレイング形式の実地訓練です。参加者は2班に分かれ、災害ボランティアセンター運営スタッフとボランティア参加者に成りきります。実際にやってみると時間がかかるブースがあったり、スムーズに対応できない場面があったりしました。ロールプレイング終了後、反省点や改善点を話し合い、役割を入れ替えてもう一度実践です。反省点を活かしながら行いました。

2班とも終了後の全体を通した反省会では、どこが上手くいかなかったか、どんな時に困ったか等を話し合いました。実際にやってみることで気付いた点が多くあり、有意義な時間となりました。

令和5、6年に当社協では実際に災害ボランティアセンターを立ち上げ、活動を行っています。その経験を踏まえ、今回の実地訓練でより論理的に運営方法が学べました。
今回の実地訓練では、万が一に備えての心構えを準備できました。災害が起こらないことが第一ですが、もし今後災害が発生した場合は今回の学びを活かしていきます。
お忙しいところご講義いただきました李先生、実地訓練実施のためにお力添えいただきました秋田県社会福祉協議会の皆さま、誠にありがとうございました。

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